ブレイク・ステート
病院の待合室、診察室から出てきた小さな男の子。お母さんに手をひかれながら、わんわん泣いています。お母さんが「もう大丈夫、大丈夫」と言って、だっこしても泣きやみません。するとお母さん、ポケットからアメ玉を一つ取り出して、「ハイ」と男の子に渡しました。男の子はアメ玉を見ると泣きやんで、それを受け取り、口に入れてニコニコしました。 このお母さんが使ったスキルがブレイク・ステートです。 なあんだ、そういうことならよくやってるって? そうなんですよ。
ブレイク・ステートというのは「状態を中断する」ことを言います。男の子は、たぶん、お医者さまが恐かったのか、注射が痛かったのか、そのことから気持ちが離れなくて泣き続けていました。お母さんの差し出したアメ玉はその男の子の気持ちを中断することができました。アメ玉を口に入れたら、甘さが口の中に広がって、男の子の気持ちはさっきとは全く違う状態になることができたというわけです。
私たちは、日常、「お仕事モード」とか「お休みモード」とか、気持ちを切り替えて生活してますね。切り替えるときにどうやって前の状態を中断することをしていますか?時計を見て次にすることを考える、ストレッチをして気合いを入れる、外の景色を見て深呼吸する、コーヒーを入れる、好きな音楽をかける、服を着替える…。実は、そういったこと全てがブレイク・ステートといえます。
NLPではこのブレイク・ステートを意識的に使っていきます。例えば、困った気持ちや憂鬱な気持ち、悲しみの感情などで心がいっぱいになっているとき、明るい希望を見出したり語ったりすることは、なかなかできないものですよね。NLPでは、「どうなりたいか」という望ましい状態を明確にしていく作業をします。自分の目標が明確になればなるほど、目標に近づきやすくなるのです。しかし、その前に、その人の心が現在の状態から切り替わらないと、その作業に入っていくことが難しいかもしれません。そういうときに、ブレイク・ステートは役に立ちます。
また、実際に目標に向かってスキルを使っている途中でも、気持ちを切り替えていくことが必要なときに、その都度ブレイク・ステートを使います。そんなときは、ほんのちょっとした切り替え作業を行います。
さて、ブレイク・ステート。皆さんも意識してみてください。落ち込んでいる人を励まそうと、冗談を言ってみたりすることはありませんか?
笑いが起こって、前とは違う明るい雰囲気に包まれたら、ブレイク・ステートは大成功!もちろん問題が解決したわけではありませんが、その人の元気の素を引き出しやすくなるかもしれません。
授業中窓の外に美しい虹が出て、子どもたちが歓声をあげ、先生にとっては思わぬブレイク・ステートになってしまうことがあるかもしれません。これなどは素敵なブレイク・ステートですね。また、もっと大きな枠で考えれば、「旅に出る」というのは、日常生活におけるブレイク・ステートになるでしょう。帰ってきたとき、旅に出る前とどう違っているでしょうか?
| 執筆/鈴木るみ子 |
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