研修の中でいただく質問は、個人的な問題なのにその研修に参加している多くの方々に役に立つということがよく起こります。今回のご質問もそんな一つでした。どのような職場でも上司と部下の関係があまりうまくいかないことがあります。
うまく行かない時は、たいていお互いが相手の力を実際より低く評価しているものです。上司は、「アイツは、何回いってもきちんとやらない」と言い、部下は「どうせ言っても上司は分かってくれない」と言います。本当にその通りのこともあるでしょうが、単に「そう思っている。」もっと言えば「そう決めつけている」ことも少なくないと思います。
交流分析(TA)では、相手の能力を実際より低く評価することを「値引き」といいますが、値引きをしている人間関係は、とても非生産的で不快なものです。これをやめて、部下の本来の能力に向けて上司が指導・指示・命令をする、部下は上司の本来の力に対して報告、相談をすることができれば、関係は大きく変わってきます。
では、どうすればいいのでしょうか?質問にもどって考えましょう。ご質問は、「何度注意しても態度を改めない」部下への対応です。
何回も注意するのは、部下には改める能力がないという「値引き」があります。つまり、部下をノットオーケーと見ています。相手の能力を引き出すなら、行動を改める問題に部下自身に直面してもらわなければなりません。そこで、次のように伝えます。
「今まで、何回も注意してきました。注意は、これで終わりにしたいと思います。なぜなら、あなたには、この問題を解決する能力があると思うからです。ぜひ、問題行動をやめて、きちんとやっるために何が必要か、どのような解決方法がとれるか考えて報告して下さい。もちろん、あなたは、今の態度を続けることもできます。そうであれば、その理由を私が納得できるように説明して下さい。このまま、態度を改めなければ、私は上司としてこれ以上あなたをこのままにしておくことはできないと思います。そして、問題を解決するために、もし私の助けが必要なら喜んで協力します。後、一週間(必要な期間)あなたに時間を与えます。よい報告を期待しています。」
といような対応をします。これなら部下は自分で問題に直面せざるを得ないことになります。それは、部下の能力をオーケーとみなしていることにもなります。一番いけないのは、自分も相手も値引きしたまま、お互いに嫌な気分を抱き続けていることだと思います。このやり方なら、少なくともどこかで、嫌な気分と「さよなら」できるのではないでしょうか。
